組織委員長挨拶
日本薬学会第138年会(金沢)の開催にあたって
組織委員長 向 智里
(金沢大学 副学長・理事)
日本薬学会第138年会は、2018年3月25日(日)から28日(水)までの4日間、金沢市の石川県立音楽堂、金沢市アートホール、ANAクラウンプラザホテル金沢など、金沢駅周辺の施設を使用して開催されます。今年度は 「次世代に向けた創薬・医療イノベーションの今」 を年会テーマとして掲げ、難病の克服・治療を目指して日々開発される様々な創薬・薬物治療・医療の革新的技術を中心に、薬学関連研究の最前線と将来展望について議論し、情報を共有することを目的としています。本年会は金沢大学医薬保健研究域薬学系と金沢大学附属病院薬剤部が中心となって運営を担当します。金沢での年会開催は、参加者12,000人を数えた1996年の第116年会以来、22年ぶりとなります。2015年に開通した北陸新幹線の影響も相まって、国内外から多数の観光客が金沢を訪れ、大きな経済効果をもたらしています。2年が過ぎても活況を呈する北陸の中核都市金沢で、次世代の薬学研究について語り尽くしていただきたいと思います。
年会を開催するための大規模なコンベンション施設のない地方都市では、会場が分散し、会場間の移動に時間やお金を費やすことが避けられません。また、宿泊施設や会場周辺での食事などに不便を感じることもしばしば経験します。これらの諸問題を解決するために、本年会では、金沢駅周辺のホテル、コンサート施設、イベントホールなどを活用して、すべての会場を金沢駅に集約した、地方都市では画期的な運営を企画しました。金沢駅周辺で開催するメリットとして、市内や近隣都市からのアクセスに優れている点に加え、周辺に宿泊施設が多いことがあげられます。また、駅を出ると直ぐ会場ですので、小松市、高岡市、富山市などに宿泊しても、それほど不便を感じないでしょう。周辺には沢山の飲食店もあり大変便利で、少し足を伸ばせば近江町市場、香林坊、片町などの繁華街での食事も可能です。ポスター会場は、金沢駅を象徴する「鼓門」と「もてなしドーム」の地下にあるイベント広場となります。一般市民や観光客などが行き来する空間で、薬学研究者による活気溢れる討論が展開されることを期待します。なお、3月末の不安定な天候を考慮して、学会参加の皆様(特に発表者)におかれましては、防寒対策に呉々もご留意ください。25日の代議員総会は香林坊の金沢東急ホテルで行いますのでお間違いのないようご注意下さい。
薬学教育が4年制と6年制の並立制度に移行して10年の月日が経とうとしています。その間、従来型の基礎薬学に加え、医療薬学や薬学教育の急速な発展など、薬学領域の教育・研究における多様化や国際化が日進月歩の勢いで進んでいます。薬学会は、これらのすべてを包含する薬学関連分野最大の学会であり、企画されるシンポジウムのテーマにもその多様性が強く反映されているように感じます。こうした異分野のシンポジウムや一般講演などを通して、薬学領域の教育・研究に携わる研究者、教育者、薬剤師、薬学生などが、自らの専門分野に留まることなく、広く相互に理解を深め、薬学の教育・研究の全体像を把握することができれば、創薬や医療技術から教育システムに至る幅広い領域で、革新的な展開がもたらされることが期待されます。そういう意味でも本年会の果たすべき役割は重要と考えます。皆様の積極的な参加と協力により、薬学領域の教育・研究・医療における次世代に向けた一層の発展と飛躍が成就されることを切に願う次第です。
電車を利用すると、東京、大阪、名古屋の主要都市から金沢へのアクセス時間が、いずれも約2時間半となり、大変便利になりました。 前回を超える多数の皆様のご参加を心よりお待ちしております。